歯の喪失の真実

皆さん、こんにちは。
久喜市の歯医者「ハートデンタルクリニック」院長の定岡です。
今回は、歯の喪失が身体に及ぼす影響についてお話していきたいと思います。

「口腔状態が良好であれば寿命が長く、重大な疾病の罹患も少ない」という仮説を検証するために、大規模な研究・調査が行われました。
研究は、開始時にアンケートにより口腔状態や生活習慣などを調べたうえで、10年間にわたり疾患罹患状況、死亡の追跡調査が行われました。
調査参加者は、21,272人(女性は8.0%)、年齢は52.3±12.3歳、40代が最多を占めていました。追跡調査期間中に、1,086名の死亡(5.5%)が確認されています。
さてこの研究・調査の結果、明らかになった真実にはどんなものがあるでしょう。

 

歯の喪失は転倒骨折を招く

50歳以上の男性9,992名(年齢61.1±9.6歳)を平均6年間追跡したところ、20名の方が大腿骨骨折を起こしていました。
歯を10〜19本失うと、大腿骨骨折の危険度は2.3倍に高まり、20本以上失うと5.2倍になることが明らかになりました。
歯を失うことは体幹のバランス維持能力の低下につながり、結果として転倒骨折が増加すると考えられます。

 

歯の喪失は命をも奪う

喪失歯数と総死亡危険度の関係を比較したところ、喪失歯数の増加とともに優位に死亡リスクが上昇していました。
10本以上歯を失うと、わずか8年の間に死亡リスクは5割以上も高まります。

 

歯間清掃(デンタルフロス)が大切

「歯磨きと歯間清掃のどちらが命にかかわるか」を明らかにした、興味深い調査結果をご紹介します。
1日4回以上歯磨きしても、1日1回しか歯を磨かなくても、死亡リスクとの間に有意な関連は認められませんでした。
これに対して、歯間清掃をほとんどしていない集団のリスクを基準値1.0に設定すると、週5回以上歯間清掃を実行している集団の死亡リスクは0.84と、統計学的に有意に低値を示したのです。
つまり、歯間清掃をするだけで10年間の死亡リスクが2割も減少し、長生きできる可能性があるのです。

実はこの調査参加者は2万人の日本の歯科医師たちなのです。
10年もの歳月をかけて、歯と全身、命とのかかわりについて明らかにした世界初の研究なのです。
この調査が明らかにしたように、歯の喪失は転倒骨折につながります。
立派な義歯が入っているはずの歯科医師ですら、20本以上の歯を失うと、大腿骨の骨折リスクが5倍も増すのです。
大腿骨の骨折を起こすと、寝たきりになる可能性が高くなります。
つまり大切な歯を失うと、寝たきりや早死になること可能性が高くることがわかります。

この調査から歯の喪失が全身の健康そして、健康寿命に与える影響が見えてきます。
また、歯を失う原因の第1位は「歯周病」です。
30代以上の3人に2人が歯周病といわれており、年代が上がるに従って症状が進行した人の割合が増加していきます。
歯周病を予防するには、日頃の歯のケアと定期健診が不可欠です。
お口の健康から、全身の健康を見直してみましょう。