歯周病菌とアルツハイマー型認知症との関係

皆さん、こんにちは。
久喜市の歯医者「ハートデンタルクリニック」院長の定岡です。
今回は歯周病菌とアルツハイマー型認知症との関係についてお話したいと思います。

 

認知症とは

認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。
認知症にはいくつかの種類があります。
アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症です。
症状はもの忘れで発症することが多く、ゆっくりと進行します。
次いで多いのが脳梗塞や脳出血などの脳血管障害による血管性認知症です。
障害された脳の部位によって症状が異なるため、一部の認知機能は保たれている「まだら認知症」が特徴です。
症状はゆっくり進行することもあれば、階段状に急速に進む場合もあります。
また、血管性認知症にアルツハイマー型認知症が合併している患者さんも多くみられます。
その他に、現実には見えないものが見える幻視や、手足が震えたり歩幅が小刻みになって転びやすくなる症状(パーキンソン症状)があらわれるレビー小体型認知症、スムーズに言葉が出てこない・言い間違いが多い、感情の抑制がきかなくなる、社会のルールを守れなくなるといった症状があらわれる前頭側頭型認知症といったものがあります。

 

65歳以上の5人に1人が認知症に

認知症は、年をとるほどなりやすくなります。
日本における65歳以上の認知症の人の数は約600万人(2020年現在)と推計され、2025年には約700万人(高齢者の約5人に1人)が認知症になると予測されており、高齢社会の日本では認知症に向けた取組が今後ますます重要になります。
また、認知症は誰でもなりうることから、認知症への理解を深め、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を創っていくことが重要といわれています。

 

歯周病と認知症

名古屋市立大学大学院医学研究科 道川誠教授らによる「歯周病で加速するアルツハイマー病分子病態と認知機能障害」では、歯周病とアルツハイマーの因果関係が明らかにされました。
この研究では、歯周病に罹患したマウスと罹患していないマウスを3ヶ月間飼育し、両者の脳内に生じる認知症で多くなるアミロイドβの蓄積、ならびに脳内レベルを定量しました。
結果は、歯周病に罹患したマウスの脳内では、罹患していないマウスに比べてアミロイドβの量が著明に上昇し、脳内の炎症分子の上昇が認められました。
このことから、歯周病という慢性炎症が、脳内に波及し、それがアルツハイマー病の原因因子であるアミロイドβの脳内レベルを上げ、認知症を増悪させていることがわかりました。

 

歯周病の原因菌(ポリフィロモナス・ジンジバリス菌)とアルツハイマー病の関係

米ルイビル大学のヤン・ポテンパ博士らの研究チームは、2019年1月23日、オープンアクセスジャーナル「サイエンス・アドバンシーズ」において、「歯周病の原因菌であるポリフィロモナス・ジンジバリス菌(以下、p.g菌)がアルツハイマー病患者の脳内で確認された」との研究論文を公開した。
この研究結果によると、脳内には、p.g菌のほか、p.g菌が産生する毒性プロテアーゼ「ジンジパイン」も確認されており、そのレベルは、アルツハイマー病と関連のある「タウ・タンパク質」や「ユビキチン」との相関が認められている。
また、研究チームでは、マウスの口内にp.g菌を感染させたところ、6週間後には脳内でp.g菌が確認され、脳内の「アミロイドβ」も著しく増加しました。

 

歯を失うと認知症発症のリスクが高まる

60歳以上で歯を28本失っていると(全て歯を失った状態)、アルツハイマー型認知症になるリスクが1.81倍になることが明らかになりました。(日本歯科総合研究機構より)
その論文では、歯周炎または歯の欠損を理由に歯科受診した60歳以上の患者、それぞれ401万名、66万名を対象として、アルツハイマー型認知症病名の有無との関係を検討しました。
その結果、性・年齢の影響を統計学的に除外しても、歯数が少ない者、欠損歯数が多い者ほどアルツハイマー型認知症のリスクが高いことが明らかとなりました

つまり、このような研究結果から歯周病に罹患することによりアルツハイマー病になるリスクが高まることがわかります。
歯周病は口腔内だけの問題ではなく、全身の健康ひいては命にかかわる場合もあります。
歯ぐきから出血がある、腫れている等の症状がある方は、放置せず早めに歯医者にかかり治療しましょう。