歯を削る機械について

皆さん、こんにちは。
久喜市の歯医者「ハートデンタルクリニック」院長の定岡です。
歯を削る機械が使い回されているのではないか、という報道が度々されます。
その反響の大きさから、厚生労働省から以下の内容で通達されました。

「歯科医療機関における院内感染対策の周知について(依頼)」
・使用したハンドピース(歯を削る機械)は患者ごとに交換し、オートクレーブ滅菌することを強く勧める。
・ハンドピースの所有数は、歯科用ユニット(治療台)の2倍以上であるかを確認する。
また、今はコロナ禍で特に医療機関にかかられることに慎重になっているのではないでしょうか。
今回と次回で歯を削る機械の感染対策についてお話します。

 

削る機械の種類

歯科治療時に使う、削る機械を歯科用ハンドピースといいます。
使う用途により大きく分けて3種類あります。
1.エアータービンハンドピース(以下タービン)
2.コントラアングルハンドピース(コントラ)
3.ストレートハンドピース(ストレート)
それぞれのハンドピースの先端に、削る器具(バー、ポイント)を付け、回転させて使用します。

 

それぞれのハンドピースの特徴

①タービン
エアー(圧縮空気)の力で高速回転して歯を削ります。
主に歯のエナメル質などの硬いものを削る時に使用します。
先端(ヘッド)部に高圧の空気を送り込むとタービン回転部が高速回転します。
その際に、歯科でよく耳にする独特なキーーンという音が発生します。
また、高速回転のため熱をもちやすく冷却用の注水も多くなります。

②コントラ
マイクロモーター(エンジン)を内蔵し、電動で回転して歯を削るものです。
これは主に虫歯など柔らかいものを削ったり、詰め物を研磨する時などに使用します。
タービンが高速回転するのに対し、コントラは低速回転で、ゴトゴトと振動を感じます。

③ストレート
マイクロモーター(エンジン)で回転するものです。
義歯(入れ歯)を削って磨いたり、セラミックや銀歯を磨く等、口の外で使用します。

 

汚染物質を吸引するサックバック

圧縮空気の力で高速回転して使用するタービンは、回転停止時にヘッド内が陰圧となり、唾液や血液、切削片などの汚染物質が吸引されます。
この現象を「サックバック」といいます。
最近のタービンにはサックバック防止機構が備えられているものもあります。
一方、コントラはエンジンによる回転なので、ヘッド内が陰圧になりません。
それにより、サックバック現象が生じることはないとされています。

 

サックバック防止と感染対策

これまでは、唾液や血液などは、ハンドピースの表面のみに付着していると考えられていました。
その為、表面を消毒用エタノールなどの消毒薬で清拭すれば感染予防対策になると言われてきました。
しかし、サックバック防止機構を備えているタービンであってもサックバック現象が生じているとの報告や、コントラであっても内部のエンジンがポンプの役目をしてサックバック現象を生じさせる場合もあるとの見解もあります。
改めて、使用後のハンドピースはその内部まで唾汚染物質が侵入していると考えるべきでしょう。

冒頭で紹介した厚生労働省からの通達にもあったように、使用したハンドピースはオートクレーブ滅菌が必要不可欠となります。
いまでは多くの歯科医院でオートクレーブを設置しています。
しかし、オートクレーブにもいくつか種類があり、オートクレーブ滅菌さえすれば院内感染対策は万全だとはいえません。
次回はオートクレーブ滅菌器についてお話したいと思います。