オートクレーブ滅菌器について

皆さん、こんにちは。
久喜市の歯医者「ハートデンタルクリニック」院長の定岡です。
前回、ハンドピース(削る機械)の種類やサックバック現象についてお話しました。
今回はその続きで、ハンドピースを滅菌するオートクレーブ滅菌器についてお話ししたいと思います。

 

オートクレーブ滅菌器とは

オートクレーブ滅菌器とは別名、高圧蒸気滅菌器といいます。
治療で使用した歯科用器材を滅菌し、再使用できるようにします。
オートクレーブ滅菌(高圧蒸気滅菌)とは、密閉された装置内で適切な温度と圧力の飽和水蒸気で加熱することにより細菌を殺滅することを意味します。
この滅菌には、装置内の空気が飽和水蒸気と全部置換して、その上で滅菌する使用済み歯科用器材のすべてに隅々まで飽和水蒸気が到達することが不可欠です。

 

なぜオートクレーブ滅菌(高圧蒸気滅菌)では不十分なのか

高圧蒸気滅菌器には、重力加圧脱気式(重力置換式方式)と真空脱気プレバキューム式(プレポストバキューム方式)があります。
治療時に唾液などを吸引するバキュームチップや、薬を患部に注入するシリンジノズルなどの中空器材(ストローのような管状をした構造のもの)は後者の方式でないと中空構造内部のすべてに飽和水蒸気が到達しません。
また、削る機械であるハンドピース(タービンやコントラ)もその構造から中空器材に該当します。
したがって、中空構造内部まで完全に滅菌できる高圧蒸気滅菌器(真空脱気プレバキューム式)でないと滅菌できていないことになります。
さらに、前回のコラムで説明した「サックバック現象」です。
内部に吸引して付着した唾液や血液、切削片などの汚染物質は、飽和水蒸気が浸透する程度では洗浄できません。
汚染物質の除去ができない以上、重力加圧脱気式のオートクレーブ滅菌だけでは滅菌処理が不十分であると言わざるを得ません。
また残留している汚染物質がユニットの管路まで汚染する可能性があります。
これでは、ハンドピースを患者さんごとに交換しても交叉感染が懸念されます。

 

2つの高圧蒸気滅菌器の特徴

① 重力加圧脱気式(重力置換式方式)
クラスNと呼ばれる従来の高圧蒸気滅菌器で、一般的に広く使われています。
中空構造のものでなければ問題なく滅菌効果が得られます。

② 真空脱気プレバキューム式(プレポストバキューム方式)
クラスBと呼ばれる高圧蒸気滅菌器で、中空構造内部のすべてに飽和水蒸気が到達するため、滅菌効果が完全となります。

滅菌する歯科用器材によってこれら2つの高圧蒸気滅菌器を使い分ける必要があります。
なかでも削る機械(歯科用ハンドピース)は患者さんの口腔内で使用し、治療内容によっては出血を伴う処置でも使用します。
さすがに使い回す歯科医院はないかと思いますが、真空脱気プレバキューム式の高圧蒸気滅菌器を設置していない歯科医院はあるかもしれません。

 

当院の高圧蒸気滅菌器

当院では上記の2台の高圧蒸気滅菌器を設置し、滅菌する器材によって使い分けています。
①重力加圧脱気式(重力置換式方式)
② 真空脱気プレバキューム式(プレポストバキューム方式)
大小あるさまざまな器材を一つ一つ丁寧にパッキングして滅菌しています。

2回に分けてお話しました、削る機械のこと。
また、それを滅菌する高圧蒸気滅菌器のことはいかがだったでしょうか。
これらのことは患者さんには目の届かないところですので知る由もありません。
しかし、見えないところだからこそとても大切なことだと思っています。
歯科医院で働く私たちが通院したい歯科医院でありたいといつも思っています。