歯ぎしり・食いしばりBiting

「歯ぎしり」は夜間にギリギリと音を立てて歯を左右にすり合わせること、「くいしばり」は夜間のみならず日中にも行われるお口の異常習癖を意味します。これらはかぶせものや歯のつめものの度重なる破損や顎の関節の痛み、口の開けづらさ、 咬み合わせの違和感、顎の筋肉の痛みの原因になります。「歯ぎしり」は夜間に行われることが主で、50〜100kg程度の強い力で(食事の時の噛む力は30kg程度)断続的に30分程度行われるとの報告があります。日中にこのような運動を意識的にしようとすると大変な力が必要で、睡眠中の無意識下だからこそ生じる現象です。
夜間に行われる「くいしばり」は歯ぎしり同様、日中では考えられない異常な力で行われ、音がしないことから周りにも発見されにくいことが多いです。夜間のくいしばり、歯ぎしりにより起床時の上半身のこりやだるさが生じる場合があります。
一方、日中に行われる「くいしばり」は弱い力(最大の咬む力の10%程度)で持続的(30分以上)に行われるのが特徴です。このくいしばりにより筋肉のこりや頭痛が生じる場合があります。
肩や首のコリでお悩みの方は一度、歯ぎしり、くいしばりを疑ってみてはいかがでしょうか?

歯ぎしり・食いしばりは歯の健康を損ねる3大リスク!

虫歯と歯周病は歯の健康を損ねる2大リスクとしてご存知の方も多いと思いますが、実は「歯ぎしり」「食いしばり」も歯の健康を損ねる大きなリスクになります。
虫歯と歯周病は細菌が引き起こす疾患で、「歯ぎしり」「食いしばり」は過剰な噛む力が引き起こす疾患です。

歯ぎしりはなぜするの?

歯ぎしりは悪い癖だと思われがちですが最近の脳科学の研究によると、忙しい現代に暮らす私たちにとって欠かすことのできないとても大切な働きをしていることがわかってきています。
様々な研究によって明らかになっているのは「噛むこと」によるストレスコントロール機能です。噛むことによって、脳の高ぶりが落ち着きリラックスする効果が認められており、おそらく「歯ぎしり」にもそうした機能、つまり睡眠中にストレスを発散させ、脳と体を守るストレスマネージメント機能を担っているのだろうと考えられています。
つまり「歯ぎしり」は、ストレス社会に生きる私たちにとって、大切な役割を担っている可能性があり、夜中に少々うるさいとはいうものの、悪い癖というばかりではないのです。

問題のある歯ぎしり、問題のない歯ぎしりがある?

歯ぎしりにも噛み合わせにより、問題のない歯ぎしりもあります。
良い噛み合わせの方は上下の歯がうまく噛み合っているので歯ぎしりをすると長く尖った上下の犬歯が歯ぎしりの力を受け止めてくれます。
歯ぎしりの力を、長くて丈夫な根っこを持つ犬歯が引き受けてくれれば、他の歯にはほとんど負担がかからずにすみます。
それに対して悪い噛み合わせの方は、犬歯がガチッと噛み合わないので、奥歯ばかりで歯ぎしりすることになります。
犬歯の支えがないので、奥歯に強い力が直接かかります。また、顎の動きにストップがかからないので、下顎が横滑りしやすく、広範囲に歯が削れてしまいます。

「食いしばり」ってなに?

一般的に「食いしばり」と聞くと、「思いっきり噛み締める」というイメージがあると思います。しかしここでいう食いしばりは自覚があるので気をつけようもあるのですが、問題になるのは無自覚に長時間、習慣的に軽く噛み合わせることです。
例えばPC作業をしている時や車の運転中、また趣味などで編み物をしているときなど、無言で集中する状況で起こります。専門的には「歯牙接触癖(Tooth Contacting Habit)」と言います。
この無自覚に行なっている習癖が色々な悪影響を及ぼします。

「歯ぎしり」や「食いしばり」の歯への影響

問題のある歯ぎしりや食いしばりは歯だけでなく顎の関節や口を動かす周囲の筋肉にも影響を及ぼすことがあります。
歯ヘの主な悪影響を以下に示します。

天然の歯

ヒビが入る・すり減る・歯の根元が欠ける

治療した歯

詰め物が取れる・被せ物が割れる・歯が折れる

「歯ぎしり」や「食いしばり」から歯を守るには

歯ぎしりや食いしばりは無意識に行うものなので、ピタリと直すのは難しいですが、いろいろな方向からアプローチをしていくと徐々に改善していきます。
また、試験前のストレスや環境の変化、緊張状態が続く状況でも歯ぎしりや食いしばりをしてしまうこともあります。
試験が終わったり、環境に慣れたりすると自然に直ることもよくありますのであまり深刻に考えすぎるのもよくありません。

主な「歯ぎしり」「食いしばり」の対応策

自己暗示

・歯ぎしりが減るイメージトレーニングを行う。
・ストレスへの対処をする。

習慣や癖を直す

・睡眠の質を上げる。
・日中の噛みしめをやめるように習慣づける。

噛み合わせを修正する

・マウスピースを使う。
・矯正治療で噛み合わせを根本的に改善する。

当院の治療

当院では、はじめに生活習慣指導を行います。
歯ぎしりや食いしばりについて正しい知識と気づきを得てもらい、良い習慣を身につけてもらいます。
なかなか改善がみられない場合は、ナイトガードを作製し、使用してもらいながら引き続き生活習慣を見直していきます。
またケースによっては歯の治療を行うこともあります。
矯正治療など根本的な治療もそうですが、欠けてしまいそうな歯を予防的に治療したり、噛み合わせの治療等をしていきます。

ナイトガードとは就寝中に装着するオーダーメイドのマウスピースのことです。
これを装着することで強い歯ぎしりの力がかかっても顎や歯に負担がかからないようになります。
歯型と噛み合わせを採れば作製可能です。
しかし、ナイトガードは歯ぎしりを治すものではなく対処するものですので、やはりいろいろな方向からのアプローチが必要です。