みなさん、こんにちは。
埼玉県久喜市にある歯医者「ハートデンタルクリニック」歯科衛生士の秋庭です。
今月は寒暖差が激しく来院される患者さんの中には体調管理に苦労されている方もいらっしゃいました。
梅雨入りも間近ですのでこじらせないように気をつけていきたいですね。
ある患者さんから
「食事をするたびにむせたり、喉に食べ物がつかえたりすることが増えてきて、何か対策はないですか?」
というご相談を受けました。
そこで今回はむせてしまう原因とむせやすい時の食事の工夫についてお話したいと思います。
むせる原因
最大の原因は「加齢」と言われています。
年を重ねるにつれ喉の周辺の筋力が低下することにより、飲み込む機能が衰えてくるからです。
つまり、嚥下機能が衰え、飲食時食道ではなく気管に送り込まれることが増えてしまい、気管が飲食物を排除しようとしてむせが起こります。
また、認知機能の低下もむせに繋がると考えられています。
認知機能の低下が進むと「食べる→飲み込む」
という動作そのものがスムーズにいかなくなってきます。
これは、認知機能の低下により脳が「飲み込む動作」を認識しなくなることで起こります。
・飲食をスムーズに行えるように働く舌の動きが鈍くなる
・上あごの筋肉が動かなくなってしまう
・食べて飲み込むという一連の動作のタイミングがずれてしまう
ということが起こります。
むせやすい時は食事の工夫を!
むせやすいからといって、献立材料を絞ってしまうのは、食事の楽しみが少なくなるだけでなく、栄養バランスも偏ることにも繋がります。
食材や調理方法をひと工夫することで、食べたいものを食べられるようにしていきましょう!
調理方法の例
・お茶、お味噌汁等でむせるとき
→とろみをつけたり、ゼリー状にする。
・パン、焼き芋などパサパサすることでつまるとき
→牛乳、スープなど飲み物と交互に食べる。もしくは浸す。
油脂を加える。
・すすって食べる麺類など噛みきりにくいことでむせるとき
→つゆにとろみをつける。
麺の長さを4~6cm程度にきり柔らかくゆでる。
とろみ材を上手く活用しましょう
とろみ材を混ぜるときはぐるぐると渦を巻かせるだけでなく、上下にも動かすことでダマが出来にくくなります。
泡立て器を使うと混ぜやすくなります。
食事を手助けしてくれるとろみ材ですが、とろみをつけすぎると口や喉に張り付きやすくなり、かえって飲食がスムーズにいかなくなることもあります。
初めてとろみをつけるときは、摂食・嚥下に詳しい看護師さんや栄養士など専門家の指導を受けるようにして下さい。
姿勢にも気をくばりましょう
むせを抑え、誤嚥を防ぐためには正しい食事で食べることも重要です。
ポイント
・背もたれのある椅子に深く腰をかける
・前かがみになり顎を引く
・テーブルとお腹の間に握りこぶし一つ分の余裕を作る
・踵はしっかり床につける
浅く椅子に腰をかけたままだったり、顎を上に上げた状態だとむせやすくなります。
また、体重を片方にかけて体が傾いた状態での食事は飲み込む動作がスムーズにいかなくなります。
むせやすいな、と感じたときは食事のときの姿勢を見直していきましょう。
食事前に嚥下体操を!
運動をするとき、ケガをしないように準備運動をするのと同じです。
むせや誤嚥を予防するためには食事前に嚥下体操をしてみましょう。
順番
1 ゆっくり深呼吸。鼻から吸って口からゆっくり息を吐き出す。これを数回繰り返す。
2 首の運動。息を止めず普通に呼吸をしながら右へ1回、左へ1回まわし、その後左右に1回ずつ首を曲げる。
3 肩の運動。肩をすくめるように上にあげる。次に力を抜いて肩を下におろす。これを2~3回繰り返す。
4 頬を膨らませたり引っ込めたりする。これも2~3回繰り返す。
5 舌の運動。口を大きく開け舌を出したり引っ込めたり、左右にも動かす。これも数回繰り返す。
6 パラカ運動。パパパ、ラララ、カカカを5~6回繰り返す。このパラカは舌や唇の動きが嚥下するときの動きと共通することが多いのです。
7 最後に再度深呼吸。
これら一連の動きを食事するまえに繰り返すことが、むせや誤嚥の防止につながります。
以上が食事時におこるむせや誤嚥を防ぐ方法になります。
体力や免疫力が低下すると誤嚥による肺炎が起こる可能性もあります。
そのため、日頃から毎日歯磨きを行い、口腔内を清潔に保つことは誤嚥性肺炎の予防になります。
いつまでもおいしく食事が出来るよう定期的な歯科受診をしていきましょう。