当院にご興味を持っていただきありがとうございます。
少しだけ当院の変遷、私の考えをお伝えしたいと思います。
当院は2007年に現在の場所から300mほど離れたテナントで開院しました。
ありがたいことに開院当初からたくさんの患者さんが来院してくださり、狭い院内はいつも賑わっていました。
当時私は丁寧に説明し、希望に沿うような治療をすることが患者さんにとって一番いいことだと思い一生懸命治療していました。
患者さんもとても喜んでくれるので、私もやりがいを感じていました。
初めはそれでも良かったのですが、2~3年経つとだんだんとやり直しの治療が目立ってきました。
一度治療した歯がまた虫歯になっていたり、せっかく綺麗に歯石を除去したのにまた大量の歯石が付いて歯ぐきに炎症が起こっていたりと、頭を悩ますことがたびたびありました。
しかし当時の患者さんたちは再発することをそれほど気にすることもなく、また治療してもらえれば安心だという感じがあり、「歳をとればみんな入れ歯になるんでしょ。」と冗談混じりによく言っていました。
はたして自分がしている治療は本当に患者さんのためになっているのだろうか?
また、再治療が当たり前という患者さんとの関係は本当に正しいのだろうか?と、自分の中で自問自答しながら診療をしていました。しかしどうすればいいのか分からず日々悶々としていました。
そんな中、あるきっかけから世界的に有名な予防歯科の先生に教わる機会がありました。
そこで教わったことの中に大きな気づきがありました。
それは、「予防歯科は患者さんと一緒に協力してもらわないとうまくいかない」ということでした。
つまり、歯医者さんだけが一生懸命になってもダメで、患者さんと一緒に同じゴール(歯を守る)を見据えて歩んでいかないとうまくいかないということでした。
私の中で『この関わり方が当院にかけていたものだ、これこそが歯科医療の本質だ』と強く感じました。
その後は当院でも、患者さんが一緒に予防歯科を実践できるような診療の流れをいろいろと工夫していきました。
その甲斐あって、今では来院する患者さんの70%以上が定期健診となり、開院当初のような再治療の繰り返しもほとんどなくなりました。今のような医院になるまでには試行錯誤を繰り返し、スタッフと何度も話し合いながら診療の流れを作ってきました。今まで頑張ってきて本当に良かったと思っています。
このような経緯を経て多くの患者さんやスタッフに支えられ、当院も開院して数十年が経ちました。開院時はアラサーだった私も気付けばアラフィフになりました。
当初元気に来院されていた患者さんたちもだんだんとお年を召され、体調が悪く元気がない時や、ご病気をされてご自分では通院できなくなってしまった方も多くなってきました。
先日、ある患者さんから「主人を亡くしてから一人で食事をするのが辛いのよ。寂しくて何を食べても美味しく感じられないの。」ということを言われました。その時ふと、「予防歯科で歯を残す意味は何だろう?」と考えてしまいました。
歯を残していくことは患者さんにとって当然大きなメリットがあります。自分の歯でよく噛めて何でも食べられることは何にも増して幸せなことだと思います。
しかし、噛む、食べるということばかりに目が行きすぎて、大切な患者さんの生活を見落としていたように感じます。誰が食事を作って、誰と一緒に食べているのか?など食事の環境までは思いを巡らせていなかったことにハッとさせられました。
歯科医療のゴールは歯の健康や歯を残すことだけではなく、お口の健康を通して一生患者さんの生活に寄り添うことが私たちの見据えるゴールなのではないかと、今は考えるようになりました。
私も研修会の参加や文献の抄読などを行い日々学んでいますが、今まで関わらせていただいた患者さんから学んだことは何よりも大切なものとなり、今の自分の考えのベースになっています。
私は、患者さんの生活を支える医療であるこの仕事に誇りとやりがいを感じています。
これからも研鑽を積み、スタッフとともに患者さんのサポートをしていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。院長 定岡 博之
- 経歴
- 1975年久喜市に生まれる
- 2000年日本歯科大学 卒業
- 2007年ハートデンタルクリニック 開院
- 2020年ハートデンタルクリニック 移転
- 現在に至る
- 所属学会
- 日本歯周病学会
- 日本口腔感染症学会
- 日本糖尿病協会登録歯科医
- 日本摂食支援協会会員
- 趣味
- ランニング&筋トレ
- 読書
- サッカー観戦